研究概要 |
1.本研究は、超微細金属粒子を従来とは異なる全く新しい方法で安定に保持した機能性高分子を合成し、これを触媒として、高選択率かつ高収率での合成反応および高効率での光エネルギー変換に応用しようとするもので、その第一段階は、低分子ミセルに保護された超微細金属粒子分散液の調製である。本研究では種々の還元法を検討し、水素還元法および光還元法が有効であることを明らかにした。特に光還元法は、粒径が小さくしかも粒径分布の狭いコロイド分散液が得られるという特徴を有する。 2.次に、不飽和界面活性分子集合体に包埋した白金超微粒子を光還元法で調製した後、紫外線またはr線照射により不飽和界面活性分子を重合して、超微細白金粒子を保持した高分子を合成することに成功した。 3.1)白金超微粒子を保持した高分子集合体を触媒として、オレフィン類の接触水素化反応を行ったところ、高い触媒活性が明らかとなった。特に、ポリエーテル鎖を親水基として有する非イオン性界面活性分子を用いた時に、最も活性が高かった。基質として、長鎖脂肪酸を用いると基質分子中の二重結合の位置によって、水素化速度が異なるという事実が明らかとなった。この位置選択性は、ミセルによる基質の可溶化の効果と考えられ、今後、より選択的な水素化触媒としての展開が期待される。2)超微細白金粒子を保持した高分子化ミセルを、トリス(2,2'-ビピリジン)ルテニウム(【II】)錯体(Ru【(bpy)(^(2+)_3)】)/メチルビオロゲン(【MV^(2+)】)系における可視光誘起水素発生の触媒として用いたところ、従来の白金触媒に比べて、高い活性と安定性を有することが明らかとなった。特に、非イオン性高分子化ミセル系は、イオン性のものよりも高い活性を示した。これは、非イオン性親水基が、高効率での電荷分離および電子伝達に有効に作用したものと考えられる。
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