研究概要 |
イネを実験材料としてリジン+スレオニン(LT)抵抗性を指標とした高リジン、高スレオニン含有突然変異体・品種の選抜、およびヒドロキシ-レ-プロリン(Hyp)抵抗性を指標とした高プロリン品種の選抜を試みた。 1.ガンマ線照射(20および30Krad)後代の【M_2】幼苗28,800個体のなかから、20個体のLT抵抗性変異体を選抜した。そのうち14個体の後代は【M_4】においてもLT抵抗性を維持していた。LT抵抗性【M_4】系統のなかには幼苗中の遊離スレオニン含量が原品種(日本晴)の2倍以上のものがあり、またその一部には遊離リジンを原品種の5倍以上含有するものがあった。今後はこれら高アミノ酸系統の実用性について検討する必要がある。 2.ガンマ線およびアジ化ナトリウム(単独またはエチジウムブロマイドとの組合せ)処理後代の【M_2】種子を用いて、リジンアナログ抵抗性突然変異体の選抜を試みたが、抵抗性個体を獲得することはできなかった。 3.LT抵抗性の程度に差異が認められる10品種を用いて、LT抵抗性と幼苗および種子中の遊離アミノ酸含量について検討し、抵抗性大の品種には幼苗中に遊離スレオニンが蓄積されているものがあることを明らかにした。次いで他の173品種についてLT抵抗性を調査し、抵抗性大の品種の幼苗中の遊離スレオニン含量を測定したが、高スレオニン含量を示したのは18品種中わずか1品種のみであった。LT抵抗性の認定基準の見直し、遊離スレオニン蓄積の生育ステージ特異性の調査などが、今後の研究課題として残された。 4.Hyp抵抗性品種は供試した98品種中には見い出せなかった。
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