明治以降のわが国農業は水田が主軸であった。古来からの技術がどのように受容され、展開してきたかを知ることは、農業の発展方向とくに土地利用を理論化するうえに重要である。 各種作物の分布状況を解析するため、市町村ごとの作物別栽培面積をデータベース化した。データを市町村界で区分された白地図に表示する必要があり独自のプログラムパッケージ(BASIC)を開発し分析に使用した。 データベースの中から各種作物の作付面積を抽出し、市町村別に「作付割合」を算出した。これを階級区分し、ディスプレイー上の白地図に表示した。(コンピューター・マップ)。この結果、畑作の類型の地理的分布には明瞭な地域性が認められた。 類型化は、クラスター分析を用いても行い、14の群に類型区分することができた。まず、3群が比較的類似しているが、牧草が多く、他に多い作目がない牧草型のA群、他に多い作目のないダイコン-牧草型のB群、二条大麦の多い二条大麦型のC群であった。これらは土地利用型作目に依存した畑作といえる。D群は大豆-二条大麦型、E群はイモ-蔬菜型で、極めて多様な作目をもった群である。F群は雑穀型で、大麦・小豆・葉たばこ・ソバの多いことが類似性を高めていた。G群は茶の多さが特徴であった。他の群と類似性が低く、極めて特殊な市・町もあった。陸稲・裸麦・小豆・葉たばこが多いH群、こんにゃく・トマト・小豆が多いI群、などである。 これらから、岡山の畑作は作目ごとの作付割合とその地理的分布とから明瞭に類型区分できた。これら類型区分は土壌・気象などの自然条件や経済的社会的条件とも密接な関係をもちながら成立してきたものと思われた。以上から類型区分の経年的変化を追跡し、土地利用の変容を明らかにする見通しを得た。
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