研究概要 |
本研究は、夏型飼料作物グレインソルガム(Sorghum bicolor L.Moench)を6〜7月における家畜の青刈飼料の端境期に茎葉を飼料として利用し、さらに、その刈株の伸長した再生茎の子実を濃厚飼料として再利用しようとする青刈・実取兼用栽培の可能性を、低温低照の北陸地方(富山)でみい出すことにある。 その結果、当地方における青刈・実取兼用裁培法の要点は、まず播種時期は5月上旬に、青刈時期は7月初旬までに行われることが必要と推定される。ただし、A-28のような早生種は、この時期よりもやや幅があり、播種は5月下旬までに、青刈は7月下旬までに実施されると、刈取後の再生茎における子実収量は無刈区のそれとほぼ匹敵するものと推察される。 このように、グレインソルガムにおける生育の途中での刈取は、麦類等の報告にみられるように、作物の「若返り」がみられること、病害虫の発生時期が回避されること等の利点が考えられる。 一方、作物が生育の途中で刈取られると、地上部における養分の収奪が行われるため、このような特殊栽培では、施肥は通常栽培より多目に施用されることが望ましい。 他方、今日では飼料作物の刈取には普通、機械力が用いられる。その際に生ずるトラクターの車輪による刈株の踏圧の影響が非常に大きく、刈株を踏圧した場合、無踏圧に比して子実収量は20〜30%減少することが明らかになった。 以上の実験結果から、北陸地方におけるグレインソルガムの青刈・実取兼用栽培は、品種,青刈時期,播種期及び施肥法等の栽培条件を考慮すれば、大いに可能性があるものと推定される。
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