研究概要 |
東洋系メロンの系統分化過程を明らかにするため、東南アジア、中国および日本のメロンの形態的差異、生態的差異および生理的差異を調べた。 東南アジアのメロンは、日本や中国のメロンに比べて葉の切れ込み角度が浅く、葉柄の刺の基部が小さかった。東南アジアのメロンの種皮細胞は2層からなり、中国や日本のメロンでは3層のものが見られた。 東南アジアのメロンは、日本や中国のものに比べて、低温伸長性が劣った。中国のメロンは、高温下で茎がより伸長した。東南アジアのメロンは、中国や日本のメロンに比べて耐乾性が高かった。 東南アジアのメロンは、中国や日本のメロンに比べて種子の休眠が深かった。東南アジアと中国のメロンの一部で、日本のメロンには認められない糖(未同定)が見られた。東南アジアのメロンの酸性フォスフォターゼアイソザイムパターンは、日本や中国のメロンと異なっていた。東南アジアのメロンの葉のフェノール物質は、日本や中国のメロンと異なっていた。 供試したメロンの形態的特徴(子房,果実,種子及び葉の諸形態)、生態的特徴(低温伸長性,高温伸長性,耐塩性,耐乾性,耐水性)および生理的特徴(種子の休眠,果実の糖の種類,発芽種子の酸性フォスフォターゼアイザイム,葉のフェノール様物質)を示す26項目のデーターを用いて、クラスター分析により類似関係を見た。その結果、東洋メロンは、東南アジア型と中国・日本型の2つのグループに分けられた。ただし、日本や中国の白ウリと、日本の雑草メロンは東南アジア型に属した。
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