研究概要 |
1.プロトプラストの単離及び培養 多くの蔬菜ではセルラーゼオノヅカRS又はR10(ヤクルト薬品工業,1〜1.5%)とペクトリアーゼY-23(盛進製薬,0.1〜0.2%)を組合せた酵素液で2.5〜3時間処理することにより容易にプロトプラストが得られた。しかし、一部の蔬菜の特定の組織ではドリセラーゼ(協和醗酵,1%)を酵素液に加る必要があった。また、酵素処理前に0.5〜0.6Mソルビトールなどで浸透圧馴しの為の培養を行うとプロトプラストの単離が良くなる蔬菜が多かった。 種々の蔬菜のプロトプラストを種々の条件下で培養した結果、多くの蔬菜で細胞分裂が観察されたが、コロニーが形成されたのはニンジンとセルリーのみであった。したがって、多くの蔬菜については、連続した細胞分裂を誘起する培養条件をさらに検討する必要がある。ニンジンのコロニーは、液体振とう培養し、不定胚を分化させた後、これらの不定胚を寒天固形培地で静置培養(照明下)することにより、正常な植物体を効率良く再生した。 2.プロトプラストの融合及び培養 ネギ属及びセリ科蔬菜のプロトプラストは、ポリエチレングリコール法,高pH法,高Ca法を組合せた方法及び電気融合法によって容易に融合した。カルス由来のプロトプラスト同志の融合が最も浸透圧の調整が容易で、成功し易かった。融合処理を行ったニンジンとセルリーのプロトプラストを培養した結果、コロニーを形成し、旺盛に増殖した。 3.体細胞雑種の選抜 マイクロマニピュレーションによるニンジンとセルリーの融合細胞の視覚的選抜は容易でなかったので、コロニー,不定胚あるいは小植物の段階で核形分析を行い、両者の染色体の大きさの違いによって、体細胞雑種の同定と選抜を行う方法を検討中である。
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