研究概要 |
種子島と喜界島で採集した試料(約40点)の粒度分布、化学的性質、粘土鉱物組成を明らかにした。これらの結果より次のような成果を得た。 1.種子島中部の十三番露頭は火山灰層と風成塵層の累積層より構成されている。火山灰層は高いリン酸保持量、高いPH(NaF)値、高い酵性シュウ酸塩可溶アルミニウム含量およびアロフェン・イモゴライト質の粘土鉱物組成で特徴づけられる。一方、風成塵層は低いリン酸保持量、低いPH(NaF)値、低い酸性シュウ酸塩可溶アルミニウム含量および結晶質粘土鉱物組成で特徴づけられた。 2.噴出年代既知のアカホヤ火山灰(Ah)と姶良-Tn火山灰(AT)を用いて、風成塵の堆積速度を求めた。 3.種子島中部の阿高磯で採取した試料はアカホヤ火山灰の上部に新期砂丘砂層が堆積している。この砂丘砂層の表層部分には粘土成分が含まれており、その鉱物組成はレスのそれに極めて類似している。この粘土成分は風成塵によると考えられる。 4.喜界島水天宮にはサンゴ由来の石灰質砂丘砂層が発達している。この石灰質砂丘砂層中には2〜3枚の古土壌層、火山灰層が見出される。この古土壌層中に含まれる貝化石について、日本アイソトープ協会に【^(14)C】年代の測定を依頼した。貝化石の【^(14)C】年代より、古土壌層の生成時期が約27,000〜28,000年前および約32,600年前であることが判明した。また、古土壌の化学的性質、粘土鉱物組成より、これが風成塵であることを明らかにした。さらに、喜界島における石灰質古砂丘砂層が最終氷期にも堆積したことが明らかになった。
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