研究概要 |
コイのα-グロビン遺伝子はクローニングされ、そのコーディング領域のみ解明されている。今回はコイのα-グロビン遺伝子のイントロン、エクソンおよび非翻訳領域の配列を明らかにし、一次構造の決定を行った。さらに海産魚のハマチα-グロビン遺伝子のクローン化とその遺伝子構造を明らかにした。 1.コイのαグロビン遺伝子は開始コドン(ATG)から終止コドン(TAA)まで714塩基対(bp)であった。アミノ酸をコードしているエクソンの長さは、第一、第二および第三エクソンでそれぞれ96,264および134bpであった。アミノ酸をコードしていない第一と第二イントロンの長さがそれぞれ176と106bpであった。イントロン,エクソン切断部位および3´非翻訳領域に他の脊椎動物のグロビン遺伝子と類似した塩基配列が認められた。しかし、第一イントロンの長さは第二イントロンのと比較して長く、他の哺乳動物のグロビン遺伝子のイントロンとは異なった。 2.ハマチ染色体DNAよりサザーン・ブロット・ハイブリダイゼーション法によりコイα-グロビン遺伝子と強いハイブリッドを形成する4.4KbのHind【III】断片を得た。その断片をクローニングし、コロニー・ハイブリダイゼーション法によりコイα-グロビン遺伝子と相同性のあるクローンを得た。さらに、サブクローン化し1.6KbのDNA断片を得た。このクローン化したハマチα-グロビン遺伝子の制限酵素地図はコイのα-グロビン遺伝子のと類似した。一ヵ所のみ(第二エクソン〜第二イントロン)Hae【III】サイトがHinfIサイトに変化していた。目下、全塩基配列を決定中であり、ハマチα-グロビン遺伝子構造が解明するものと思われる。
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