研究概要 |
各種の不輝発生アミン(プトレシン,カダベリン,チラミン,トリプタミン,スペルミジン,スペルミン)をエチルオキシカルボニル誘導体化した後FIDガスクロマトグラフを用いて分析したところ、これらの6種類のアミンは相互によく分離し、同時定量が可能であった。しかし、アグマチンについてはガスクロマトグラフでの分析は不可能であった。次いで、種々の魚種(イワシ,サバ,サンマ,ニシン,サケ,タイ,ヒラメ,コイ,ニジマス)を5°C,10°C,20°Cに貯蔵し、経時的にこれら6種の不輝発性アミン類の変化の様子を調べた結果、コイの場合を除き、筋肉中のカダベリンは鮮度低下とともに増加し、その含量も高く、鮮度指標として適当と思われた。とくにイワシとサンマではカダベリン含量が筋肉100g中15mg以下で鮮度良好、15〜20mgで初期腐敗、20mg以上で腐敗と判定された。さらにプトレシンとチラミンもカダベリンとほぼ同様な消長を示すが,その含量はカダベリンの1/4〜1/3であった。トリプタミンも鮮度低下とともに増加するが量的には少なかった。スペルミジンはコイではかなりの量検出され、その他の魚種でも徴量検出された。スペルミンはコイで高濃度含まれるのが特徴的で、その他の魚種では少量ないしは全く検出されなかった。また、水産無脊椎動物(スルメイカ,クルマエビ,ホタテガイ)を5°C,15°C,20°C貯蔵中の6種の不揮発性アミンの消長を調べたところ、含量の高いのはカダベリン,プトレシン,チラミンであり、魚類の結果と類似していた。これら3種のアミンの増加と鮮度低下との間に相関がみられた。トリプタミン,スペルミジン,スペルミンはほとんど検出されなかった。水産醗酵食品中(しょっつる,イカ塩辛,カツオ塩辛など)の不揮発性アミンの含量を調べたところ、測定値は低く、食品衛生上問題ないことがわかった。
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