研究課題/領域番号 |
60560279
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
畜産学
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研究機関 | 東京大学 (1986, 1988) 名古屋大学 (1985) |
研究代表者 |
大久保 忠旦 東京大学, 農学部(附属牧場), 教授 (90115535)
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研究分担者 |
松井 寛二 東京大学, 農学部(附属牧場), 助手 (50126166)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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キーワード | 草地生態システム / 生長モデル / エナジーフロー / 放牧 / 牛のエネルギー代謝 / トールフェスク |
研究概要 |
牛群が放牧されている草地を、植物群落ー牛群ー土壌生物群で構成される系、すなわち生態システムとして把え、植物と家畜の相互作用を調べるとともに、そこでの牧草と牛群の成長予測を目標に、システム分析的なアプローチを試みている。予測のためのシミュレーションは、次の段階の研究として準備しているが、本研究では、シミュレーションモデルの作成に必要なパラメータを定量的な実測値から得ることを主なねらいとし、以下の成果を得た。 1)数式モデルの特徴:生態システムの三大構成要素である牧草(生産者)、放牧牛群(消費者)、土壌生物群(分解者)の成長を、基本的には同形のコンパートメントモデルで表現したこと、何れにも潜在的成長力を想定してこれに相応するエネルギー要求量を先ず求め、現実にはこれが制限されて制限要求量となり、さらにこれが現実の供給量とのバランスされたのちに現実の成長が発現する、という生物の把え方で統一したことが特徴である。 2)草地の生産力:放牧牛群への餌の供給量は、牧草群落の生長速度によって決定される。2年間にわたり、放牧期間と休牧期間(他牧区への輪換期間)の牧草生長量、枯死量、リター(植物遺体)量を実測、牛群による採食量も測定し、ほぼ1ヵ月1〜2回の割合で可食部生産量と増体量を調べた。これらをエネルギー単位の値に換算し、投射された太陽エネルギー(日射量)から可食部、採食部、可消化エネルギー、代謝エネルギーそして蓄積エネルギーとしての増体までの各エネルギー変換効率を求めた。季節別には、春季と初秋に増体が高く、夏季と晩秋に低くなり、牧草の生長速度とやや似た推移となったが、可消化エネルギーから代謝エネルギーへの変換効率がかなり増体の変動に影響し、次いで牧草の消化率が関係していた。前者の効率は、英国ARCが用いている効率より著しく低く、モデル開発にとって重要な課題であることが示唆された。
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