研究概要 |
アパミンを蜜蜂の毒より精製し、最初にその作用をウシガエル交感神経節細胞を用いて調べた。その結果、アパミンは【Ca^(2+)】チャンネルや活動電位の立ち下がりに関与している【Ca^(2+)】依存性【K^+】チャンネルには有意に影響せず、後過分極に関与している【Ca^(2+)】依存性【K^+】チャンネルに特異的に作用することがわかった。また電位固定法によって解析した結果、アパミンは後過分極に関与する【Ca^(2+)】依存性【K^+】電流のうち、速い減衰を示す成分に対しては、大きさを変えることなく時定数を著明に減少させ、遅い減衰を示す成分に対しては、逆に時定数を変えることなく、大きさを減少させた。これらのことから、アパミンはある種の【Ca^(2+)】依存性【K^+】チャンネルを特異的に阻害することが明らかになった。 アパミンの受容体を同定するため、【^(125)I】で標識したアパミンをシナプス形質膜に結合させ、架橋剤を用いて架橋した後、2次元電気泳動ゲルのオートラジオグラフィーによって、アパミンの結合物質(受容体)として分子量約30,000の酸性蛋白質を検出した。このスポットを切り出し、濃縮して、BALB/cマウスに注射して単クロン抗体を得ようと試みたが、現在までのところ、得られていない。また、アパミンをシャミセン貝のヘモシアニンに結合させたものをウサギに注射することによって抗アパミン抗体を得た。これをアフィニティークロマトグラフィーによって精製し、BALB/cマウスに注射することによって、抗イディオタイプ抗体(単クロン抗体)を作製しようと試みているが、成功するに致っていない。アパミン受容体の密度は10fmol/mg蛋白質のレベルであって、きわめて少ないので、通常の生化学的手段による精製はほとんど不可能である。そのため、単クロン抗体や遺伝子工学の手法を用いてアプローチする必要がある。
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