研究概要 |
1.ジュウシマツ胎仔(生後5日以下)のMAN(magnocellularis ant。neostriatum)の脳移植片をHVc(Hyperstriatum vent.caud。)に接して脳室内に注入する。移植片の神経軸索とシナップス形成にとって、移植片内の血管新生は必要な条件であり、次の結果が得られた。 (1)移植片の大きさが血管新生に関係があり、0.013【mm^3】以上の大きさが必要である。 (2)移植片内に新生する血管は、受領者の血管に比して、その径が大きく、変形していることが多い。 2.受領者核内に移植片の神経軸索を成長させるようにするため、受領者であるHVc内の入力線維を除去しておくことが必要である。そのため、入力線維の起始核がCollision testによって決定された。その結果、HVcへの入力線維の主要な起始核はMANであることがわかった。(80%)。その他の起始核はarea-x(20%)である(No.1,REFERENCE)。 3.受領者核であるHVcからの主要な出力線維はRA(robustus archistriatalis)とその周辺を支配する (No.1,3,REFERENCE)。RAを支配する線維のシナップス伝達物質は、高速液体クロマトグラフ(電気化学的検出器法)を用いることにより決定された。脳スライス標本によって得られた結果、これらの線維はGABAergicであることがわかった(No.2,REFERENCE)。スライス標本から放出されるGABAは定量化されるので、移植により再建されたHVcの回復経過をみるよき指標となる。
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