1.Galactose oxidase-Schiff(GOS)反応の確立 GOS反応の実施に当たって欠かすことの出来ない問題にgalactose oxidaseの精製がある。検討した市販のgalactose oxidase標品には総てprotease活性を示す成分が多量に含まれており、組織切片をgalactose oxidaseで処理するさいに予期しないtroubleを生ずる原因となる。2年間にわたって検討した結果、G-200によるアフィニティーカラムクロマトグラフィーにより容易に精製できること、さらに、より簡便な方法として酵素溶液を50℃で30分間加熱するとprotease活性のみを選択的に失活させることが出来ることが明らかにされた。さらに酸化条件の検討によりGOS反応は実用の域に達したと言える。 2.染色法の応用 2-1.消化管病理への応用GOS反応は胃粘膜の表層粘液細胞を選択的に染色する。ヒト胃癌を検討したところ、分化型のみならず未分化型胃癌にも表層粘液細胞型癌細胞が多数出現していることが明らかにされた。さらに、分化型胃癌においても、印環細胞型胃癌と同様、粘膜内で癌細胞が重層状に分化する現象が観察され、表層拡大型胃癌の発生機序を明らかにする道が開かれた。さらに、すべての臓器をつうじて、T抗原の抗原性はgalactose oxidaseで失活するが、T抗原の検出に利用されてきたpeanut lectinは必ずしもT抗原とのみ結合するとは限らないことも明らかにされた。2-2.代謝性疾患への応用GOS反応は【GM_1】gangliosidosisに置ける蓄積物質の解析に有用であった。
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