非白血病性腫瘍細胞の表面に存在するRNA(ribosomal type)の分布状態と構造を明らかにする目的で、マウス腹水型非白血病性腫瘍細胞(エールリッヒ癌)、及び、そのコントロールとして、細胞表面にRNAの存在しないマウス腹水型白血病細胞(L1210)について、細胞表面超微形態をプラズマ重合膜レプリカ法を用いて観察した。 すなわち、細胞をウサギ抗RNA抗体と4゜Cで反応させた後、金コロイド結合抗ウサギ抗体と4゜Cで反応させ、細胞表面のRNAを金コロイド粒子でラベルした。細胞表面のレプリカ膜をプラズマ重合膜レプリカ法により作成し、そのレプリカ膜を、電子顕微鏡を用いて観察し、細胞表面超微構造と、レプリカ膜に付着した金コロイド粒子の分布状態とを調べた。 その結果、金コロイド粒子は、エールリッヒ癌細胞表面のところどころに集合して存在し、それら金コロイド粒子の存在する個所には紐状の隆起した構造が認められた。抗RNA抗体のかわりに正常ウサギ血清を用いると、エールリッヒ癌細胞の表面には、金コロイド粒子のついていない紐状構造が観察された。なお、L1210細胞の表面には、金コロイド粒子も紐状構造も認められなかった。 以上の結果より、非白血病性腫瘍細胞の表面に存在するRNAは、細胞表面のところどころに集合して存在すること、及び、紐状構造をとることが示唆された。
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