研究概要 |
水納島で発生している主な蚊は、人畜に有害なネッタイイエカ,ヒトスジシマカの2種で、これまでの調査結果より5〜6月に発生のピークがみられることが予想される。今回は1回目のオオカ放飼をこのピーク前の4月9日に行った。放飼に先だって、3月17日に蚊の発生水域の多い人家周辺とモクマオウ林に100個のモニタリング用のトラップを設置した。フィリピン産オオカ放飼はモクマオウ林の2カ所で、4月9日〜6月12日に約2週間に1回の割合で5回,8月30日に1回,合計6回行い、雌2951,雄2888の合計5798個体の成虫を放した。1986年4月9日〜1987年2月2日までに11回,全トラップに発生した蚊幼虫の種類,数,令構成などについて調べた。トラップに入った種はこれまでの結果と同様ネッタイイエカとヒトスジシマカが多く、放飼時の幼虫発生数は100トラップ当り450個体であったが、4月29日(放飼後20日目)には3800個体に増加した。しかし放飼回数が増すにつれ、トラップ中の幼虫は減り、6月28日には1400個体に減少し、例年5〜6月にみられる蚊の発生ピークはみられなかった。しかし、その後8月30日まで放飼を止めたため、8月5日には9700個体まで増加した。8月30日に再び放飼を行った所10月8日には3700個体まで幼虫数が減少した。オオカ放飼後20日目には50%のトラップにオオカが入り、5月13日(放飼後34日目)には88%に、6月12日(放飼後63日目)は96%になった。オオカ幼虫数は5月13日〜6月28日に多く、227〜363個体であった。1987年2月には4個体のオオカ幼虫の越冬が確認された。オオカは全てのトラップに産卵したが、カクイカの多くは人家周辺に発生がみられた。トラップ中のオオカと捕食性カクイカとの生息状況は、オオカのみ82%,カクイカのみ6.5%,両種混生が11.5%であった。light trapとbaiting collectionは気象条件に大きく影響を受け、両方法では蚊の発生の様子を知ることは困難であった。
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