研究課題/領域番号 |
60570201
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研究機関 | 新潟薬科大学 |
研究代表者 |
多村 憲 新潟薬大, 薬学部, 教授 (50027314)
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研究分担者 |
宮村 定男 新潟薬科大学, 微生物学教室, 教授 (90018276)
大橋 典男 新潟薬科大学, 微生物学教室, 助手 (10169039)
浦上 弘 新潟薬科大学, 微生物学教室, 助手 (80139732)
鶴原 喬 新潟薬科大学, 微生物学教室, 助教授 (40100086)
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キーワード | R.tsutsugamushi / 株特異的抗原 / 蛋白の精製 / 病原体の分離 / 細菌表層構造 |
研究概要 |
1.R.tsutsugamushiの株特異蛋白の精製: R.tsutsugamushiには、血清学的性状を異にするGilliam,Karp,Kato,Shimokoshi及びKawasaki株などが知られている。我々は昨年これら株間の抗原性の差異はリケッチア表在性の54-56キロダルトン(k)蛋白の株特異的抗原性によることを明かにした。我々は将来、株間の54-56k蛋白の化学構造の差異の解明やこの蛋白の診断用抗原への応用、更にこの蛋白の機能的、生理的意義を解明したいと考える。そのため本年度は54-56k蛋白の精製に努めた。その結果、精製リケッチアをサルコシル、オクチルグルコシド処理後HPLC法により、54-56k蛋白の精製に成功した。2.恙虫幼虫からの培養細胞系によるリケッチアの分離と分離株の性状解析:今年度新たに1株を分離し、昨年度と合わせ4株となった。単クローン抗体を用いた型分けとマウスを使った毒性試験により、これらのうち2株は強毒のGilliam型、1株は弱毒のKarp型であることが判明したが、残り1株はいずれの単クローン抗体とも反応しない弱毒の新型株であった。この事実は培養細胞系により恙虫の幼虫から容易にリケッチアが分離できること、従来のマウスを用いた分離法に比して 弱毒株や新しい血清型の株が得られ易いことが判明し、今後このリケッチアの自然界の分布状況の把握に新たな道を開いたものと考える。3.患者からのリケッチアの分離; 1例の患者血液からL細胞を用いた上記の方法によりリケッチアを分離することに成功した。この方法が患者からの分離に応用できたことは一つの成果と考える。 4.リケッチア表層構造の解析:本年度当初には予定しなかった研究方向であるが、精製リケッチア中のペプチドグリカン(PG)やLPSの構成成分を種々の化学的方法で分析したところ、このリケッチアにはPGやLPSが欠落していることが判明した。この事実は このリケッチアの分類学上の位置付けに重要な新発見であると考える。
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