インターフェロン(以下IFN)誘発に関与するポリI:Cレセプターの精製とその性状を解析する事を目的として実験を行ない、以下の結果を得た。 1.ポリI:Cレセプターに対する単クロン抗体の作製:RK-13細胞及びその細胞膜から分離したポリI:Cレセプター画分(昭和60年度研究実績)を抗原として、BALB/Cマウスを免疫し、細胞融合法により抗体産生ハイブリドーマを作製した。単クロン抗体のスクリーニングは、RK-13細胞を抗原として、酵素抗体法(ELISA)により行ない、又、抗体価測定は、【^(125)I】標識2次抗体を用いるRIA法により行なった。 2.単クロン抗体による細胞レベルでのポリI:Cレセプターの解析:RK-13細胞を単クロン抗体で前処理して、ポリI:C誘発によるIFN産生に対する効果を調べた所、(1)IFN産生を抑制する抗体、及び(2)IFN産生を増強する抗体が見出された。(1)の抗体は、レセプター分子のポリI:C結合部位を認識しポリI:Cのレセプターへの結合を阻害する事によりIFN産生を抑制すると推定される。一方、(2)の抗体については、そのIFN産生増強の機序は、現在の所不明である。 3.単クロン抗体による分子レベルでのポリI:Cレセプターの解析:RK-13細胞の細胞膜から部分精製したポリI:Cレセプター画分を、SDS-PAGE及び銀染色法で解析した所、分子量95K〜25Kの5種類のポリペプチドが検出された。これを更にウエスタンブロッティング法で解析した所、分子量59Kの成分が、ポリI:Cによるインターフェロン誘発を抑制する単クロン抗体によって認識された。従って、この分子量59Kの成分が、ポリI:Cレセプター分子上のポリI:C結合部位を構成していると推定される。 4.ポリI:CレセプターのRNA特異性:RK-13細胞及びPR-RK細胞を用いた細胞レベルの実験から、ポリI:CとポリA:Uとではレセプターが異なる事(RNA特異性)が示唆された。現在、【^(32)P】によるポリI:Cの標識を試みており、これをプローブとして、ポリI:Cの性状の解析を更に進める予定である。
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