研究概要 |
HLAクラス【II】抗原の中、DR抗原及びDP抗原はMLR(mixed lymphocyteCulture)においてT細胞の増殖反応を惹起することがよく知られている。ところが、DQ抗原がこのようなT細胞刺激能を有しているかどうかは、不明である。我々はこのことを明らかにするため、DR2,DQw1のファージ・ライブラリーからDQαをDR3,DQw3のファージ・ライブラリーからDQβ遺伝子クローンを分離し、これらをマウスL細胞,ヒトT細胞株(CEM),ヒト前単球株(U937)に導入し、DQ抗原を発現させた。遺伝子導入にはリポソーム法を用い、pSU2-Neoを選択マーカーとした。得られた形質転換細胞株は、DQ抗原に対する単クローン抗体Len10,Hu-11に反応することがEPICS 【V】で確かめられた。又、二次元電気流動でもDQ抗原のα,β鎖が発現していることが確認された。これら形質転換株を用いて、DQ抗原のMLRにおける機能を検討したところ、L細胞とU937はDQw1/DQw3の末梢血リンパ球の増殖反応をよく惹起することが判明したが、CEMのそれはこのような刺激能は示さなかった。CEMはリンパ球の増殖に必要な液性因子を産生しないか、又はリンパ球の増殖反応を抑制する機能があるのかも知れない。いずれにしろ、以上の結果はHLAクラス【II】抗原の中、DQ抗原もDR,DP抗原同様リンパ球(T細胞)を刺激する能力があることを示している。 我々は現在、DRα,β遺伝子を導入したL細胞を作製中である。これらDR+L細胞と【DQ^+】L細胞を用いて、DR抗原及びDQ抗原がin Vitro抗体産生系でどのような役割を果たしているのかを検討する予定である。
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