研究概要 |
インターロイキン1(IL1)およびそのリセプターの免疫生化学的研究を推進するためにはIL1の純品とこれに対する特異性の高い抗体を作製することが必須である。我々はヒトIL1αの遺伝子産物を利用して以下の実験を行った。 1.抗ILα抗体の作製とその応用: IL1の免疫反応や生体における免疫機能の解析あるいはIL1活性部位の検索などの目的でヒトIL1αに対するモノクローナル及びポリクローナル抗体の作製を試みた。その結果高い特異性を有する抗IL1α抗体が得られ、これを用いて、1)種々のIL1産生細胞(単球性白血病細胞及びEBV株化B細胞株など)におけるIL1α,β産生の局在性、2)抗IL1α抗体結合カラムによるIL1α,βの特異的分離法の確立、3)抗IL1α,β抗体を用いたウエスタン・ブロット法、4)ビオチン化抗IL1α抗体を用いた酵素免疫測定法の確立した。以上の方法によって現在〜0.1ng/mlまでのIL1αを測定することが可能となり、現在種々の生体成分中でのIL1αの動態を追跡している(以上の結果はすでにJ.Immunolに印刷中である)。 2.IL1リセプターの解析: さらにIL1α(β)リセプターの解析を行う目的でIL1αを放射性ヨードラベルし種々の培養細胞におけるIL1αリセプターの算定を行った。この結果ヒトNK様細胞株VTでは細胞あたり数千個の高親和性のIL1αリセプターが同定されたが、他の細胞株ではほとんどが【10^3】以下であった。とくに我々がIL1による情報伝達機構の解析のモデルとして用いているヒト白血病細胞株HSB.2サブクローンではIL1依存性に関わらずIL1リセプター検出以下のレベルしか発現しておらず、IL1結合後の情報伝達機構において興味ある知見が得られた。(論文投稿中)。本研究は現在世界的にも関心が高く競争の激しい分野であるが、我々は大変有意義な成果をあげこの分野の研究の進展に貢献できたと考えている。
|