研究概要 |
LGL(NK)の分化と機能調節および腫瘍認識機構について、主に多数のクローン化細胞を用いて検討してきた。1.LGLクローンのT細胞レセプター(TCR)遺伝子解析:TCRのα,β,γ鎖遺伝子プローベを用いた解析から、すべてのマウスLGLクローンにおいてその遺伝子再構築が認められさらに殆んどのクローンで、それらのmRNAが検出された。これはLGLが明らかにT細胞の分化系列にあることを示す。しかし各クローンのキラー活性のスペクトラムとβ鎖再構築パターンには何ら相関なく、LGLの腫瘍認識に、T細胞における如くαβ鎖から成るTCRが関与しているとは考えられなかった。事実、細胞膜の解析では、αβ鎖に対応するスポットは見出されず、蛋白レベルでは発現していない可能性が示唆された。一部のクローンでは、γ鎖mRNAが検出されないにも拘らずNK活性が認められることから、γ鎖の関与も否定的であった。他方近年、ヒトのNKクローンの一部が、γ,δ鎖より成る第2のTCRを有しているらしいことが報告されている。それが認識ユニットである可能性は低いが、NKの初期分化を考える上で重要であり、我々のクローンでも解析を進めている。2.LGLのIL2レセプター:LGLクローンの増殖はIL2に一義的に依存したが、IL2単独での増殖にはしばしば限界があり、それはマクロファージあるいはIL1の共存によって維持された。【^(125)I】-IL2を用いた結合実験より、LGLの高和和性IL2Rの発現は、IL2単独培養下で徐々に失われる傾向にあり、それは、マクロファージあるいはIL1の共存下で発現維持されうることが示された。これより、M中はLGLの増殖において、主にそのIL2R発現への効果によって強く関与していることが示された。現在、これらの結果をふまえ、LGLの初期分比及び認識機構について、さらに検討を進めている。
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