赤血球膜より糖蛋白分画を抽出し人工脂質二重膜であるリポソームに再構成させることにより、補体alternative pathwayの反応を解析した。その結果、以下の点が明らかとなった。 1)TNP-Cap-liposomesはモルモット(GP)の補体alternative pathway(ACP)を活性化して溶解反応を起こす(Okada et al.Immunol.1982)が、このTNP-Cap-liposomesにモルモット糖蛋白(GP-GP)を組み込み(TNP-Cap-GP-GP)、モルモット血清(GPS)とMg-EGTA-GVB存在下で反応させるとマーカー放出が抑制された。しかし、【GVB^+】中での反応ではマーカー放出の抑制は顕著ではなかった。 2)TNP-Cap-liposomesとGPSをMg-EGTA-GVB中で反応させる時、GP-GPを溶液中に添加しても反応の抑制は起こらない。 3)TNP-Cap-liposomes-GP-GPとGPSの反応系にanti-TNP抗体を添加しても補体反応は抑制されたままである。GM1やGM3による抑制ではanti-TNP抗体の存在で解除されるのとは異なり、糖蛋白GP-GPによる抑制は極めて強力である事が解った。 4)TNP-Cap-liposomes-GP-GPがモルモットのACPによる溶解反応を受けなくなるのは、GP-GPが補体の活性化を抑制したのではなく、膜を補体反応に対して抵抗性にした結果ではないかと言う危倶があった。そこでGPSと反応させても補体活性の消費がGP-GPにより起こらなくなっていることを確かめた。 5)TNP-Cap-liposomes-GP-GPはProteinase-Kで処理することにより補体反応性を回腹した。従って、補体反応を抑制している物質は蛋白性の物である事が確かめられた。
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