SLEのモデルマウスであるNZB×NZW【F_1】およびMRL/Lprから、モノクローナル抗DNA抗体を樹立した。それらのモノクローナル抗DNA抗体は、その特異性により、大きく2種類に分類できた。すなわちDNAの塩基部分に反応し、厳密なDNA特異性を有する抗ssDNA抗体と、核酸の燐酸-糖骨格に反応し、厳多彩な交差反応性を有する有する抗ss/dsDNA抗体とである。本研究では、これらのモノクローナル抗DNA抗体を用いて、以下のことを明らかにした。 (1)モノクローナル抗ssDNA抗体のDNA上の抗原決定基は、ssDNAにのみ露出している塩基部分に存在していた。(2)モノクローナル抗ssDNA抗体は、合成ssDNAに対する特異性という観点から5型に分類することが出来た。(3)poly(dG)特異的モノクローナル抗ssDNA抗体は、そのssDNA結合能が、DNAの最小単位であるdGMPにより完全に抑制された。(4)モノクローナル抗ssDNA抗体のepitopeとしての抗原DNAの最小単位がtetramerもしくはpentamerであった。(5)モノクローナル抗ss/bsDNA抗体は、核酸に対して多彩な交差反応性を有していた。(6)モノクローナル抗ss/dsDNA抗体の対応抗原は、核酸の"燐酸-糖骨格"の部分に存在していた。(7)モノクローナル抗ss/dsDNA抗体はカルジオリピンに対しても交差反応性を示した。しかし、VDRL抗原に対しては、反応性を有さなかった。(8)モノクローナル抗ss/dsDNA抗体はプロチオグリカン、免疫グロブリン、補体第一成分とも交差反応性を示した。
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