気道分泌機序の解明の為に、私共の開発した気道分泌のisi vitroのモデルである摘出粘膜下腺を用いて検索を行ない次の成績を得た。 1 気道分泌には筋上皮細胞の収縮による粘液のSqueejingと腺細胞からの分泌という2つの様式が存在し、前者は数分以内の知時間の分泌反応を示し、後者は数時間にわたる反応を反映していることが判明した。2 これらの分泌反応は細胞内外の【Ca^(2+)】濃度に依存している。3 前述の2つの分泌反応の神経支配が異なり、粘液のSqueejingは主にコリナージック、腺細胞からの分泌はそれに加えてα- β-アドレナージック及び非アドレナージック非コリナージックの支配を受けている。4 種々の化学伝達物質には、直接的な分泌促進反応は認められなかったが、神経末端からのアセチルコリン遊離に対して増強効果が認められた。5 サブスタンP(SP)が前述の2つの分泌様式の両方に働いて分泌亢進をもたらすことが明らかになり、その機序はいずれも神経末端からのACh遊離を介するものであることが判明した。6 イヌ、ネコ、ヒトなど種属間であるいは気道の部位による明瞭な差異は、検索した限りでは見い出されなかった。7 主に腺細胞からの分泌に対して気道上皮からの抑制因子が働いていることが明らかになり、これはコリナージック α-、β-アドレナージック、サイクリックAMP及びSPなどの刺激に際しての反応で明瞭に認められた。この抑制因子はシクロゲナーゼ又はリボキシゲナーゼ系のアラキドン酸の代謝物とは関連がないことが判明した。8 腺分泌細胞に【Na^+】-【K^+】ATP aseが存在しこれに伴って【Cl^-】の移動、水分の移動が粘膜下腺を通して行なわれていることが推定された。
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