研究課題/領域番号 |
60570389
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田村 忠雄 京大, 大学併設短期大学部, 教授 (70026855)
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研究分担者 |
武曽 恵理 京都大学, 医学部・第三内科, 助手 (10190852)
土井 俊夫 京都大学, 医学部・第二病理, 助手 (60183498)
吉田 治義 京都大学, 医学部・第二病理, 助教授 (80135574)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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キーワード | 免疫複合体 / 抗体クロノタイプ / ループス腎炎 / 膜性腎症 / 抗DNA抗体 / IgG4サブクラス / 抗体の親和性 / 等電点電気泳動 |
研究概要 |
免疫複合体型糸球体腎炎の中でも代表的なループス賢炎ならびに膜性賢症について病型特異的抗体クロンの検出を、等電点電気泳動法(IEF)により試みた。1.ループス腎炎における抗DNA抗体について-IgG型抗DNA抗体は、本症における主要な病因の1つとされている。一方本抗体は正常ヒト血清(NHS)中にも証明されることから両者間での比較を行った。 その結果、NHSでは本抗体クロンはpH7.5-8.5のアルカリ域に限局性に検出され、一方ループス腎炎例では、同じアルカリ域中により強い抗体バンドとして検出され、両者間には本抗体について量的差の他に抗原結合親和性の差があることが示唆された。そこで、親和性を食塩濃度によるDNA結合活性の違いとしてIEFあるいはELISAにより検出することを試みた。その結果、NHSでは、0.2M食塩の高濃度条件下では本抗体活性の著明な低下が認められ、一方ループス腎炎例では、本条件下で比較的抗体活性が良く保たれた。病変腎糸球体におけるIgG沈着様式と本抗体の親和性の関連では、最も重症型である、メザンジウムおよび係蹄壁型を呈する例は全て高親和性であることが明らかとなった。したがって本研究により、ループス腎炎におけるIgG抗DNA抗体の病原性は高親和性にあることが示唆された。また本抗体のクロン多様性の程度あるいは陽性荷電の程度は病原性とは関連しないことが示唆された。2.膜性腎症における特徴的IgG抗体のクロノタイプ-本症における流血中免疫複合体の主要な構成成分はIgG4サブクラス抗体であることおよび病変腎においてもIgG4抗体が優勢に検出されることが明らかとなった。腎沈着抗体のIEFによる分析では、主にpH5.5-6.5の酸性抗体であることが証明された。血中免疫複合体が易解離性であったことと考え合わせると、本症においては、陰性荷電で希クロン性かつ低親和性であるIgG4抗体の病原性が強く示唆された。
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