研究概要 |
(A)本態性高血圧症の全身K量とNa/KATPaseの関連。 本態性高血圧症を食塩感受性と非感受性群に食塩負荷と血圧の関係で分類し、各群について、全身K量,循環血漿量,赤血球内のNa/Kの濃度,赤血球膜のNa/KATPaseを測定した。食塩感受性群は非感受性群に比較し、循環血漿量/全身K量の比が大で、体液量貯蔵傾向と、K喪失傾向の状態にあることが明らかになった。(第60回九州地区、日本循環器学会発表)。現在赤血球内NaとKの濃度比と循環血漿量/全身K量比の検討、および、赤血球Na/KATPaseの関係についての研究を進行させている。 (B)利尿剤投与中の本態性高血圧症例の、全身K量減少に対する、K補給に関する研究。 本態性高血圧症例に利尿降圧剤を2年以上の長期に渡って投与すると、血清K量の減少に先だって、全身K量が減少することが明らかになった。この時期に、心室性不整脈や耐糖能異常が出現することを我々既に発表したが、 (第49回 日本循環器学会、第 回、日本高血圧学会)。 全身K量の喪失に対する有効なK補給に対する研究を昨年度にひきつづいて施行した。結果は降圧利尿剤投与中のK喪失は大きく、通常投与されている量のK剤では補給が出来ないことが分った。また有効な補給を行うために、大量のK剤は、消化器系の副作用を来す例が多くの例に認められた。今回我々が施行したKの補給法で唯一の有効なものは、K保持性の利尿剤である、スピロノラクトンの50〜75mg/日の投与であった。すなわち、サイアザイド系の利尿剤投与時には、K剤を外から補給しても有効でなく、Kの排泄を抑える方法が、唯一有効であった。スピロノラクトンの併用又は変更が、サイアザイド投与中の本態性高血圧症の心室性期外収縮の出現を減少させる点は、昨年度と同様の成績を得た。
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