研究概要 |
本態性高血圧症のカリウム動態評価を全身K量と血清Kの観点から行った本態性高血圧症では, 軽症未治療の時期に, 血清Kは正常でも, 全身K量は有意に低値を示した. 特に食塩感受性高血圧症では, 全身K量の低下, 循環血漿量の増加というナトリウムの貯留, カリウム喪失の状態を示していることが明らかとなった. 全身K量は血清Kと比較し, 長期のカリウムの変動に対しては, より早期に異常が分ることが明らかになったが, サイアサイド剤治療中の本態性高血圧症の不整脈の発現頻度との関係を検討した所, サイアサイドを2年以上長期に使用していると, 血清カリウムは正常でも, 全身K量は正常以下に低下している例が多く認められ, これらの例には心室性期外収縮の発現頻度が高いことも, 明らかとなった. 一般に心室性不整脈の発現については, 血清Kのみで判断される場合が多いが, 全身K量の測定を行うことにより, 血清Kより早期に, 心室性期外収縮のRiskが分るという, 制点を得ることが出来た. 次にサイアザイドをどの位使用していると, カリウム異常が出現してくるかの検討を, サイアザイド単独使用の本態性高血圧症例の血清Kと全身K量を測定した. 血清Kは5年以上の使用例で, 有意な低下を認めたが, 全身K量は, 2年以上の使用で, 低下することが分った. このように, 全身K量は血清Kよりも早期にカリウム異常を知る指標となる可能性が考えられた. 高血圧症の利尿剤治療中に生じたカリウム異常に対して, カリウム補給にどの種類の薬剤が効果的であるかと検討するため, KCl, K-zluionute, Spironalactoneにより検討を行った. 結果はSpironaloctone 15mg/回のみが, 利尿剤投与中に, 血清Kと全身K量に増加することが, 明らかとなった.
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