研究課題/領域番号 |
60570409
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
山下 安雄 東海大, 医学部, 助教授 (30112783)
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研究分担者 |
岡崎 勉 東海大学, 医学部, 助手 (50056321)
鈴木 恵子 大阪府立成人病センター, ベクトル心電図室長
戸山 靖一 大阪府立成人病センター, 研究所第一部長
TOYAMA Seiichi The Center for Adult Diseases
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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キーワード | バイドメイン理論 / 心筋の異方性 / 細胞膜電位 / 心電図逆方向問題 |
研究概要 |
本研究は、心電場の統一的理論であるバイドメイン理論に基づいて、心筋線維の走行特性や導電率の異方性を考慮に入れた生理学的な心電源モデルを提案し、この心電源と心電場の関係式をもとに体表面電位図から心筋の膜電流や膜電位の巨視的分布を復元する逆方向問題について検討したものである。 異方性心筋の興奮による電場生成は、興奮波面に沿っての膜電流が電源となる。膜電流の測定は難かしいので、測定可能であり電気生理的に重要な電源として膜の活動電位を考え、膜電位分布と細胞外電位の関係式を求めた。次に、実際の心電場は、バイドメインの心臓がモノドメインの胸部容積導体に埋め込まれた不均質な場であるので、心臓表面や体表面およびその他の内部境界面で必要な電流と電位の接続条件を与えて積分し、膜電位分布から体表面電位を計算する積分公式を導いた。この公式は、心筋線維の走行特性や導電率の異方性を考慮して心筋膜電位から心電図を計算する一般的な順方向関係式で、膜電位に対する心電図の関係を解析する場合に有用である。 次に上述の順方向関係式をもとに実測の体表面電位図から心筋膜電位の巨視的分布を推定する逆問題に関して検討した。その結果、一般の異方性心筋では膜電位分布を一意的に復元できないが、導電率の異方性が細胞内外領域で比例関係にあるような「等異方性」の場合や異方性そのものを無視しうる場合には、心電源は心臓表面上の電気二重層と等価であり、それゆえ体表面心電図から心表面の膜電位分布が一意に定められることが知られた。細胞膜電位分布は心筋細胞の電気的活動度を表す最も直接的な指標であるので、心筋梗塞や虚血による活動電位の低下を従来より確実に判定できると考えられる。現在本研究で得た理論的成果を臨床に生かすべく、体表面電位図から心表面膜電位分布を逆計算するプログラムの作成を急いでいる。
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