研究概要 |
1.ポルフィリン症の早期発見法の開発:高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、尿,血液,糞便中ポルフィリンの高感度迅速分析法を確立した。本法によって、ポルフィリン症の早期発見および確定診断が可能となった。また、ヘム生合成系酵素8個のうち、5個の酵素について、微量精密酵素活性測定法を新規開発し、各種ポルフィリン症患者の微量肝、骨髄等生検組織からの測定を可能にした。 2.皮膚症状を呈するポルフィリン症のポルフィリン代謝異常機構:(1)PCT患者33例のポルフィリン代謝を検討した結果、肝ALA dehydratase活性が著明に低下しているのを見出した。本酵素活性の低下は酵素蛋白質絶対量が低下していることの可能性を得た。また、赤血球URO′gen decarboxylase活性が低下しているPCT患者を2例見出した。更に、PCTの発現関連因子であるアルコール,エストロゲン,鉄,およびヘキサクロルベンゼンをラットに投与し、ヒトPCTと比較した結果、各々、ポルフィリン代謝異常が異ることがわかった。(2)EPP患者15例のポルフィリン代謝を検討した結果、遺伝的素因の極めて強い1家系を見出した。また、赤血球と尿のポルフィリンをHPLC分析し、典型的なEHPPを1例見出した。(3)VP患者6例のポルフィリン代謝を検討した結果、肝ALA synthase活性が著明に上昇していることを見出し、この説明を与えた。また典型的なVP患者の尿、糞便中のポルフィリンパターンを作成した。(4)CP患者7例のポルフィリン代謝異常について調べた。 3.ポルフィリン症の臨床統計 わが国で、昭和61年12月までに報告された全報告例のうち、厳密にポルフィリン症の定義に合致したものについて臨床統計を行ない、わが国におけるポルフィリン症の実態を整理し、これをまとめた。
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