研究概要 |
経皮経管血管拡張術の新技術開発のため、レーザー併用による血管拡張の技術を研究した。この方法の基礎的検討は60年度実績報告書などの通りであるので割愛して、2年間の臨床成果のまとめについて報告する。 2年間の臨床例は13例であり、16回の治療を行った。その中動脈硬化とBuerger病の2例では異る部位の治療、1例は膝窩動脈捕捉症候群のための再発に対する再治療である。以上の治療により以下の結論を得た。 (1)レーザー血管拡張術は動脈硬化性狭窄の再開通の予後を改善することが示唆された。即ち治療した8例では再発がない。最長経過観察は24ケ月。 (2)脛骨動脈,腓骨動脈の狭窄又は閉塞に対しても裸のレーザーファイバーの応用により血管拡張又は再開通が可能であった。特に切断を余儀なくされている下腿血行障害には本法を試みる価値がある。 (3)レーザーと血管軸の同軸性に留意すれば穿孔の危険性は極めて低い。我々の症例では血管穿孔は発生しなかった。(4)膝窩動脈4.5cm閉塞例で裸のレーザーファイバーで閉塞内部位を変えて3回照射したところ満足すべき動脈再開通を得た。動脈閉塞内でガイドワイヤーを無理なく進められるだけ進めて深さを測り、その後裸のレーザーファイバーを挿入し、レーザーを照射するのも良い方法と思われた。Balloon併用により仕上りは良好である。 (5)20cm以上の長い動脈閉塞の再開通には末だ技術的に問題がある。使用したセラミックチップは血管再開通には成功するが、動脈壁の熱による浸透性亢進,動脈壁の脆弱化、動脈瘤形成の危険性を認めた。今後はセラミックチップの大きさと形状の改良等照射技術の改良が必要と思われた。 (6)レーザー血管内視鏡により(我々の開発)内視鏡直視下のレーザー照射が可能となった。本法を1例に施行し満足すべき結果を得た。
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