研究概要 |
合成糖蛋白質(GHSA)の【^(99m)TC】標識率は95%以上のものが得られ、標識後約3時間の安定性が確認された。ラットの静脈内投与により、末梢血中からの半減期約1分で急速な消失を示し、投与量の約95%が肝に集積した。他の臓器集積はシンチグラム上認められず、肝集積率は静注後30分以上安定しており、その後腸管内集積増加を示すことから、胆汁排泄が推定された。これは胆管結紮モデルでは、いったん肝集積を示した後に尿路系が描出されることからも傍証された。標識GHSAの心臓部時間放射能曲線にてコンパートメント分析を応用し、静注後早期の分布相における消失速度定数をKd,肝の集積相における速度定数をKuとした。C【Cl_4】投与慢性肝障害ラットにおける肝のASGP受容体量とKdは0.846,Kuは0.786と強い相関関係を示し、シンチ手枝を用いて測定されたパラメーターKd,KuはASGP受容体量を反映することを示した。3´methyl-4-dimethyl aminobenzen投与肝癌ラットでは、最小10mm大の腫瘍部が肝内欠損像として画像化された。標識GHSAの最小量【C^(0.1)】mg/kg体重)投与時の肝一回循環除去率は、ほぼ100%に近いことを確認した。本投与量時の【K_4】と【H_2】電極クリアランス法による肝血流量とは、門脈狭窄血流低下モデルでは、0.975テオアセタミド誘発肝硬変モデルでは0.689の相関関係を示した。肝硬変モデルでは、肝内シャントの存在,肝ASGP受容体量の減少のために相関値がやや低いと考察された。末梢血中ASGPの消失クリアランス(CLtot)は、肝血流速度(Q)と肝固有クリアランス(CLint)によって規定されるモデルと考えられる。最小量投与時のCLtotはCLintによらずQを反映すること,大量(ing/kg体重)投与時のCLtotはQによらず、CLintを反映することを示した。肝細胞に特異的に存在する受容体と結合関係を有する標識ASGPを応用した本検査法は、有効肝血流量と受容体量に影響する肝障害重症度を簡便に判定できる特長がある。
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