研究概要 |
1 臨床的研究: 分裂病圏の患者11例(男8,女3;平均年令22.9歳)について, 治療開始前と抗精神病薬(ハロペリドール2.25mg/日など)を服用約2週間後の安静閉〓時の局所脳血流の変化を^<133>Xe吸入法で測定した. また, 本検査の再現性をみるために, 建常成人10名について約2週間の間隔をおいて2度目の検査を施行した. その結果建常成人の半球平均血流は49.8〜51.4ml/100g/minで, 再現性も良好であった. 患者群の半球平均血流は, 服薬前はは右55.8, 左54.5服薬後は右51.0左は49.0で減少傾向を示したが有意な変化ではなかった. しかし, 脳部位別にみると, 左前頭領域(服薬前58.7 服薬後52.1)と右側頭頭頂領域(55.5 49.5)で服薬後に有意の減少が認められた. BriefPsychaticRatingScaleで評価した精神症状については, 猜疑の項目が有意に減少していた. 2 実験的研究: ウィスター系雄性ラット18匹を用い, ハロペリドール(HPD)0.1mg/kg(5匹)又は1.0mg/kg(6匹)投与による脳血流の変化をオートラジオグラフ法により検討した. ラット股動静脈にカテーテルを留置し, 麻酔覚醒2時間後に薬剤又は対照として生食水200μ/kg(7匹)を静注し, その1時間後にN-isopropy-p-[^<125>I]-Iodoamohetamineを静注した. 動脈採血後に脳を取り出し, 20umの凍結切片を作製(X線フィルムに感光させ, 黒化度を測定した. 局所脳血流はrefrence sample法に従って算出した. その結果, ラット覚醒時の全脳平均血流は, 対照群172,1ml/100g/min, HPD0.1mg/kg投与群180.8, 1.0mg/kg投与群164.5で有意な変化はなかった. 脳各部位の血流分布では, 両側の手網核で有意の上昇(約20%)を認め, 内側前頭前野と側坐核では減少傾向が認められた.
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