研究課題/領域番号 |
60570501
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 東北大学 (1986) 岡山大学 (1985) |
研究代表者 |
佐藤 光源 東北大, 工学部, 教授 (70033321)
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研究分担者 |
風早 靖子 岡山大学, 医学部附属病院, 医員
秋山 一文 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (40150990)
KASAHAYA Yasuko Medical Staff, Okayama University Medical School
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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キーワード | 抗精神病薬 / 線条体 / ドパミン代謝 / ドパミン受容体 |
研究概要 |
本研究の目的は、抗精神病薬ハロペリドールの間欠または持続投与がラット線条体にどのような持続性変化をもたらせるか明確にすることにある。このためラットにハロペリドールを14日間投与し、1週間の休薬期間をおいて脳内ドパミン、その代謝物、受容体、イノシトール燐脂質代謝を検討した。投与は1日1回腹腔内に注射する間欠投与群(A群)と、皮下ヘミニポンプを埋没させハロペリドールを持続放出させる持続投与群(B群)である。その結果、下記の成積を得た。 (1)A群は対照群よりも明瞭なアポモルフィン感受性を示したが、B群ではそれがみられなかった。間欠投与で起こるドパミン過感受性は持続投与で起こらず、投与法の違いが黒質線条体系に異なる変化をもたらせると推論した。(2)A群とB群では線条体のドパミン含量に変化はみられなかったが、テスト量のハロペリドール負荷でA群のみ対照群同様HVA、DOPACの増加がみられ、B群ではみられなかった。持続投与では線条体ドパミン系にハロペリドールへの代謝耐性が起こることが示された。(3)〔3H〕-スピペロン結合では、A群よりも有意に著しい線条体受容体数の増加を認めた。親和性には差はなかった。これがドパミン作動薬への低感受性や代謝耐性の一因をなすと推論した。(4)カルバコール、ノルエピネフリン、セロトニン刺激によるフォスファチジルイノシトール代謝は、A群、B群、対照群の3群間で差を認めなかった。以上の成積から、持続投与群は線条体ドパミン系に間欠投与よりも強い影響を与え、受容体により著しい変化を起こし、代謝耐性を形成し、そのために錐体外路性副作用が少ないという臨床知見のようなことが起こる可能性があると結論した。
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