研究概要 |
ヒト活性化B細胞に発現するIL-2レセプター,IL-2の機能について研究を行い、次の点が明らかになった。1.正常人末梢血B細胞は、SAC刺激により、その細胞表面にIL-2レセプターを発現する。2.B細胞に発現するIL-2レセプターは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動による解析では、60-65KDのバンドとして検出され、T細胞に発現するIL-2レセプターと差はない。3.B細胞のIL-2レセプターもリン酸化をうける。4.B細胞表面には、細胞増殖に関与していると思われる高親和性IL-2レセプターが発現している。5.IL-2レセプター遺伝子発現を、ノーザン法によりRNAレベルで調べると、T細胞の場合と同様に、主に1.5,3.5Kbの2種類のmRNAが検出される。6.正常活性化B細胞は、リコンビナントIL-2のみで増殖する。7.Ig産生細胞への分化をプラーク法で調べると、リコンビナントIL-2のみで、わずかにB細胞の分化がみられる。γインターフェロンを同時に加えると、著明なIg産生の増加が認められ、この分化は、IL-2レセプターに対する抗体である抗Tac抗体によって阻止された。以上の結果より、少くともin vitroにおいて、ヒト活性化B細胞に発現するIL-2レセプターを介して、IL-2によりB細胞の増殖,分化のシグナルが伝達されるることが明らかになった。今後、IL-2は、生体内においても、最近その構造が明らかになったIL-4(BSF-1),IL-5,BSF-2らの因子と同様に、B細胞の増殖,分化に関与しているか否かを明らかにする必要があろう。
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