研究分担者 |
田村 英嗣 弘前大学, 医学部附属病院, 医員
柴崎 至 弘前大学, 医学部附属病院, 医員
早川 一博 弘前大学, 医学部附属病院, 医員
TAMURA Hidetsugu Department of Surgery, Hirosaki University Hospital, Medical staff
HAYAKAWA Kazuhiro Department of Surgery, Hirosaki University Hospital, Medical staff
SHIBASAKI Itaru Department of Surgery, Hirosaki University Hospital, Medical staff
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研究概要 |
昭和60年4月から昭和63年3月までの大部分肝移植実験の成果は以下の如くである. 1) 選択的生体内肝左葉(左中心葉, 左外側葉, 尾状葉乳頭突起)潅流実験では, 13例中8例が10日以上生存し, このうち6例は3カ月以上生存した. 従って冷却潅流負荷を加えた蒸解肝左葉のみで十分長期生存 可能であった. この成績より, 選択的生体内潅流手技を応用することにより, ドナーの安全性を確保しつつ移植片を採取することは臨床的に可能であると判断された. 2)移植実験ではazathioprine+methylpredonisolone群44例中10例が7日以上生存したが, 全例拒絶反応による肝不全で死亡しその最長生存は8日であった. 一方, ciclosporin+methylpredonisolone群8例では, 5例が7日以上生存しその最長生存は40日であった. 以上の成績はドナーを犠牲死させた実験系で, ドナー・レシピエント両者同時生存実験結果を以下に示す. 3)移植片として肝左葉(左中心葉, 左外側葉)を使用した場合, ドナー15例中8例が3週間以上生存した. 3週間以内死亡例の原因は, 腹腔出血2例, 消化管出血3例, 創離開2例であった. 4)レシピエント15例では, 6例が7日以上生存し最長生存は10日で, その死因はいずれも感染症であった. 7日以内死亡例の原因は出血, 移植片機能不全当であった. 以上の実験結果より, 肝左葉(左中心葉, 左外側葉)を用いる大部分肝移植実験ではドナーの安全性は確認されたと考えられる. 一方, レシピエントちついては免疫抑制療法および感染症対策を改善することにより, 長期生存の可能性が示唆され, 臨床的に十分応用できるものと思われる. 今後, さらに長期生存を目指し, 臨床例への応用に貢献したいと考える.
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