研究課題/領域番号 |
60570581
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 博 東大, 医学部, その他 (40184006)
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研究分担者 |
中塚 貴志 東京大学, 医学部・形成外科学, 医員 (80198134)
高戸 毅 東京大学, 医学部・形成外科学, 医員 (90171454)
上田 和毅 東京大学, 医学部・形成外科学, 医員 (40160163)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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キーワード | 血管柄付骨膜移植 / 血管柄付骨移植 / 骨新生 / 軟骨性骨化 / 骨シンチグラム / オキシセルガーゼ / ハイドロキシアパタイトセラミックス / 凍結乾燥骨 |
研究概要 |
骨膜の骨形成能に関する研究は、18世紀より数多くの報告があるが、その結果についてはまちまちで統一した成績がなく、結論がでるには至らなかった。これは骨膜を遊離移植した場合では移植床の血行に大きく影響され、血行のあまり良くない移植床においては骨膜からの骨形成が期待できないためである。これに対し、われわれは血行を温存して骨膜を移植する血管柄付骨膜移植を家兎において行ない、良好な骨形成を得ることができた。実験モデルとしては家兎の、後肋間動静脈を血管柄とする肋骨骨膜弁、伏在動静脈あるいは膝窩動静脈を血管柄とする脛骨骨膜弁、さらに深腸骨回旋動静脈を血管柄とする腸骨骨膜弁を用いた。いづれのモデルにおいても良好な骨形成が得られ、その過程に軟骨性骨化が重要な働きをしていることが明らかとなった。この中でも、周囲に筋体を多く有し、直接の栄養血管によって養われる筋骨膜弁において最も優れた骨形成が得られた。また骨膜腔内に自家骨髄片を充填すると著明な骨形成促進効果がみられ、逆にオキシセル綿を充墳すると抑制される傾向がみられた。ハイドロキシアパタイトセラミックスや凍結乾燥骨を充墳した場合は、骨形成の促進効果はみられなかったが、その周囲に良好な骨形成が生じ、支持材としての可能性があると思われた。こうした骨膜からの新生骨は、荷重を負荷した場合では吸収されにくいが、荷重の刺激が加わらない場合ではかなりの吸収がみられた。さらに膝窩動静脈を血管柄とした血管柄付骨移植において、移植後の骨動態の変化も骨膜反応を中心に生ずることが明らかとなった。この反応は術後の骨シンチグラムにおける高度の放射性物質の集積となってみられ、1週から4週まで通常の4倍位の値を示し、その後漸減していった。この変化は同時に行った非脱灰研磨標本を用いた骨標識、コンタクトマイクロラジオグラム、Cole式H.E.染色標本などによっても確認された。
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