研究概要 |
昭和60年度に引き続き、62年2月までに下記の実験を行なった。 盲腸結紮,穿刺により作成した腹膜炎犬を4群に分け、腹膜炎作成直後より次の4通りの組成の高カロリー輸液(すべて等熱量,等室素量)を行なった。すなわち、非蛋白エネルギー源としてのグルコースと脂肪乳剤の配合比を、カロリー比として、10:0(D100),8:2(D80),5:5(D50)2:8(D20)の4通りの組成とした。以上の4群において、先ず間接熱量測定を行ない、得られたエネルギー消費量の1.5倍量のカロリーを、腹膜炎作成手術直後より持続投与し、48時間後に再度間接熱量測定を行なった後、肝組織(フリーズクランプ法による) 動脈血、24時間尿を採取した。 種々の指標を分析した結果、現在のところ以下の知見を得ている。 1.48時間後の生存率は約20%で、各群は、D100>D80>D50>D20の関係にあった。 2.エネルギー消費量の手術前後の増加率は、20-40%の範囲にあり、4群間に差はなかった。 3.48時間後の呼吸商は、D100>D80>D50>D20であった。 4.IRIは、D100で著増したが、他の3群では軽度上昇に留まった。 5.IRGは、D50,D20で、他群より高値をとった。 6.肝Energy ChargeはD100>D80>D50>D20の結果を示し、D50,D20では、critical levelにまで低下した。 7.動脈血中ケトン体比は、D50,D20で低値をとった。 8.窒素平衡は、D80で、最も良い傾向を示した。
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