発光ダイオードにより流体を照射し、光センサーにて、この反射光を感知し流速を計測するモデル機(径8mmを作製し)生理的食塩水中に1【mm^3】あたり直径500μのポリマー(アイバロン)粒子100個を含む流体の流速を計測した。このモデル機による計速は満足すべき結果であったが、牛血液の血流速度速定は不成功であった。 一方人門脈内にカテーテルを安全に留置するアプローチに関し、昨年度、左門脈umbilical pointを経由することが望ましいことを報告したが、今年経皮経肝的門脈造影の手法を用い、門脈圧亢進症症例におけるカテーテル先端の至適な位置につき検討を加えた。門脈圧亢進症症例では門脈大循環シャント路として、coronary Veinが果す位置が極めて大きく、肝門部からcoronary Vein分岐部までの極めて、短い門脈本幹内が、カテーテル先端位置の至適部位と思われた。 またカテーテルのアプローチの確保として、動脈用シースを用い、ルートをヘパリン生食でロックすれば、数時間の使用は十分安全で、門脈血栓症などの合併症は生じなかった。 人門脈血流の解析方法として最近注目されているパルスドップラー法による解析を肝細胞癌症例を含む、門脈圧亢進症症例および正常例について行なったところ、門脈圧亢進症症例では、門脈血流は、時に逆行性であったり、うず巻き状を呈していたり、様々なパターンを示し、門脈のどの部位で計測するかにより、得られる情報は大きく異なるようであり、門脈血行異常例での門脈血流計測の困難さが示唆された。
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