研究概要 |
1.ヒト血中CCK濃度とOddi括約筋運動・胆嚢収宿十二指腸運動の関係 (1)有胆嚢あるいは胆摘例に対し外因性CCK投与(0.02-0.03U/Kg/min,静脈内)あるいは内因性CCK誘発(Intrafat10ml,1minで十二指腸内注入)を行なった結果、次のことを知り得た。a)内因性CCK誘発例では血中CCK濃度がpeakに達するまで、他法に比し10分間の遅れをとったが、最大濃度は大差がなかった。b)CCK静脈内投与では投与中止後10〜15分で血中濃度が前値に戻ったが内因性CCKの場合にはpeakに近い濃度が20〜30分間も持続した。c)内外因性CCKとも胆嚢収縮Oddi括約筋運動抑制・十二指腸運動抑制効果をもち、両者の作用に本質的な差異はみられなかった。d)Oddi括約筋運動抑制は血中CCK濃度がpeak値の1/2〜1/3(10〜20pg/dl)でも起り、胆嚢収縮もこの濃度で50%程度の収縮がみられた。以上のa)〜d)の結果から結論ずけられることは、1°)CCKはヒト胆道系(の運動)に作用する主な消化管ホルモンの一つであること、2°)ヒト胆道系のCCKに対する閾値は相当に低く、わずかの(脂肪)食事摂取でも胆道系は長時間にわたり強い反応を示すと考えられる。 2.ヒト空腹期のOddi括約筋運動 十二指腸とOddi括約筋の運動を同時記録した結果、1)十二指腸運動が全く見られない静止期(phase【I】)でもOddi括約筋には3〜4/minの収縮運動がみられる。2)十二指腸の強収縮期(phase【III】)では、この運動に同期して10/minの強い収縮がみられ、同時にbase lineの上昇がみられた。以上a),b)の結果からOddi括約筋の運動は根本的には十二指腸運動から独立したものであるが、十二指腸運動の影響を容易に受けることがわかった。十二指腸運動亢進時には胆汁の排出はむすろ阻止されることになろう。
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