研究課題/領域番号 |
60570646
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
森下 靖雄 鹿大, 医学部, 助教授 (40145470)
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研究分担者 |
西元寺 秀明 鹿児島大学, 医学部, 助手 (40170485)
山下 正文 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (80158170)
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キーワード | 単純浸漬保存法 / Collins'M-verapamil Cardioplegia / 同所性移植 / 逆行性冠灌流 / Contraction Bands |
研究概要 |
目的:単純浸漬冷却法によって保存したdonor心を同所性に移植し、その問題点を検討した。対象と方法:ほぼ同体重のdonor-recipient9組の雑種成犬を使用した。donor犬の大動脈遮断後、4℃のCollius'M-verapamil cardioplegia液を用いて停止、冷却心を得た後graftを摘出し、0〜4℃の同液に12時間単純に浸漬保存した。保存後graftを体外循環下に同所性に移植し、移植操作中のgraftの復温防止と代謝産物のwash outのため、6例で冠静脈洞より逆行性に電解質溶液(4℃)を用いて持続冠灌流した。体外循環離脱後、recipientの固有循環を維持できなくなった時点までを観察期間とし、graftのviability評価のため、保存終了後の左室自由壁の一部を全層採取し組織学的検査に供した。結果:graftの全阻血時間は9時間2分〜15時間30分(平均11時間38分)の間にあった。体外循環の補助なしにrecipientの固有循環を維持しえた時間は最長36時間50分、平均8時間36分であった。移植操作中の逆行性冠灌流施行群と非施行群間に生存時間で有意差を見出せなかったが、6時間以上生存の4例中3例は逆行性冠灌流施行群であることからその有効性が示唆された。保存直後に採取した左室自由壁の一部の光顕像ではcontraction bandsの出現や細胞間隙の浮腫などもみられず正常な心筋構造を保持しており保存状態は良好であった。 結論:recipient犬の死因の大半は血圧を十分に保ちながらも発生した呼吸不全で、体外循環時間の可及的な短縮、膜型肺の使用、移植操作中の肺の保護、及び術後の呼吸管理の改善を図ることが大切と考える。死因として心原性によるものがなく、保存心の左室心筋に筋原線維の虚血障害を示すといわれるcontraction bandsが認められなかったことなどから、本法による12時間保存はなお追及の価値がある。
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