肺癌の化学療法中に制癌剤が効かなくなる現象の要因として癌細胞に薬剤に対する耐性機序が存在し、これが作動するためであるという考えに基ずき耐性蛋白メタロチオネイン(MT)との関係を検討した。☆耐性の解析はヒト肺の腺癌培養細胞と制癌剤シスプラチン(Cys)を用いた。耐性細胞はMNNGとCysの存在下に細胞を培養し、生存するものを継代する方法で選択した。細胞は培養顕微鏡、走査電顕(SEM)、螢光顕微鏡およびウローサイトメトリ(RCM)で形態を観察した。MTの検定は細胞の破破物および培養上清をSophades G-f5vより分画する文法で行った。☆細胞はCysの存在下で生存しているが長期間増殖が停止したものが存在した。この細胞は増殖因子としてEGF、7メプロネクチン、インシュリンを加えることで増殖が再開した。この細胞はCysに対して耐性で(RC)大型のものと細長い突起をもった細胞集団から構成されていた。FcMでRCは大部分が大型でかつ内部構造、細胞表面の微細構造はoriginal cells(OC)とかなり違った細胞であることがわかった。SEMによる観察では、-RC a microvielは短かくなっており、DCでみられたようなbleb状小突起は消失していた。倍加時間はOCが48h、RCは71hであった。細胞p-b-a検討から、CEAは減少、ケラチンは増加、HCAは不変であった。RCa破砕物および培養上清中にはMTが存在した。☆2の耐性細胞において、Cysに対する耐性はMTにより〓どられていると考えられた。☆ラットの移植肺癌に良好な抗腫瘍効果を得るために高濃度のCysが必要であるが、この場合に生じる腎臓への副作用は薬剤を投与する前に微量金属を動物に投与し、腎臓にあらかじめMTを誘導することで防御できることから、この蛋白は本来大部分の細胞がもっている耐性機構であると考えられた。
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