研究分担者 |
本田 千穂 香川医科大学, 医学部附属病院, 医員
三野 章呉 香川医科大学, 医学部, 助手 (40174106)
吉岡 純二 香川医科大学, 医学部, 助手 (40166913)
植田 清隆 香川医科大学, 医学部附属病院, 講師 (50144738)
大本 堯史 香川医科大学, 医学部, 教授 (60032900)
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研究概要 |
これまで、グリオーマ細胞におけるsrcがん遺伝子産物pp【60^(src)】およびerbBがん遺伝子産物と相同性が認められる上皮成長因子受容体(epidermal growthfactor receptor,EGF-R)の発現について検討を行った結果、グリオーマのなかにはその発生あるいは増殖にsrc群がん遺伝子の関与しているものがある可能性が示唆された。本年度は、これまでに得られた結果を基礎に、グリオーマ細胞に対し増殖抑制効果を示すProstaglandin(PG)【D_2】,【J_2】,adenylate cyclase活性化物質forskolin(FKN),カルモジュリン阻害剤W-7,プロティンキナーゼC阻害剤H-7を、それぞれ作用させた場合のグリオーマ細胞におけるpp【60^(src)】とEGF-Rの発現の変化を、モノクローナル抗体を用いてFlowcytometerにより解析した。PG【D_2】,PG【J_2】,FKNを作用させると、いずれの場合もpp【60_(src)】,EGF-Rの明かな発現の低下が認められたが、その程度はFKN処置による低下が最も著明であった。W-7,H-7を作用させた場合では、著明な変化はなく、H-7でわずかにEGF-Rの発現が増強される結果が得られた。既に報告したように培養グリオーマ細胞に形態学的並びに生化学的分化を誘導するFKNにより、強いpp【60^(src)】およびEGF-Rの発現の抑制がもたらされること、一方、胎生期のある特定の中枢神経組織には一過性ではあるがpp【60^(c-src)】の著しい発現が認められることなどが知られている。これらのことを考え併せると、今回我々の得た結果はsrc群がん遺伝子産物が、グリオーマ細胞の脱分化(dedifferentiation)に深く関与していることを示唆するものと考えられる。
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