研究課題
一般研究(C)
研究者は、神経筋接合部(NMJ)に関して、各種病態に関連し微細構造の変化を、選択的結合組織除去法を用い、走査電子顕微境学的に筋線維表面の三次元的構造と筋線維表面構造を主体にして実験的に追求した。そしてすでに、筋の支配神経切断の際には、正常なNMJでは終末軸索に対応して、深い不規則なシナップス溝および多数のslit状の深いシナップスひだが観察されるに反し、深い不規則なシナップス溝及び多数のslit状の深いシナップスひだがみられることを認めた。そして、このシナップス溝は経過とともに漸次浅くなり、後シナップス領域全体が隆起し、シナップスひだはslit状からpit状に変化し、かつその数を減じ、完全に消失した。以上の変化はNMJの発生過程を逆行する様相を呈することを明らかにした。以上に引き続き上述同様の方途により画像解析的手段を導入し、NMJの筋線維タイプによる構造的差異につき検索を行った。その結果、キンカ鳥,ラットの2種の動物において、前者の遅筋においては、1本の筋線維当りのNMJは少数の後シナップス陥凹で特徴付けられ、シナップスひだは認められない。一方速筋では、シナップス陥凹は多数あり、シナップスひだが少数存在することを認めた。さらに、後者ラットにおいては、タイプ【I】筋線維では、小型で、シナップスひだは少なく、その約半数は開口部が幅の狭いslit状を呈し、約半数がpit状である。タイプ【II】筋線維では、NMJは大型でシナップスひだの数は多く、そのほとんどが幅の広いslit状を呈することを認めた。さらに、mdx筋ジストロフィーマウスにおいて、NMJは、生後長期間未熟な形状(上述ピット状を呈するもの)が多く、これは再生筋線維に関するものがその要因を占め、発生段階の後シナップス構造の分化を引きつぎ保持するものと考えられた。
すべて その他
すべて 文献書誌 (6件)