研究概要 |
悪性線維性組織球腫(MFH)の生物学的特性に関する基礎的情報を得る目的で、4-hydroxyaminoquinoline 1-oxide(4-HAQO)誘発MFHの移植系を用いて実験を遂行した。実験方法および結果を以下に述べる。 1.MFH皮下移植腫瘍の制癌剤に対する感受性について(1)方法:MFHの三つの亜型腫瘍を移植されたFischer344系雄ラットに各種制癌剤を経静脈的に投与し、腫瘍増殖抑制率から制癌剤に対する感受性の評価を行なった。(2)結果:線維型ではcis-dichrolodiamine platinum 【II】(CDDP)とcyclophosphamide(CPM)に感受性が最も高く、粘液型ではadriamycin(ADM),巨細胞型ではCPM,CDDPに対して高い感受性が認められた。 2.実験的肺転移モデルの作製(1)方法:MFHの粘液型および巨細胞型移植腫瘍により種々の細胞数に調整した細胞浮遊液を作製し、ラットの尾静脈から注入した。(2)結果:両亜型腫瘍ともに肺結節数と注入細胞数および結節数と注入後経過時間の間には明らかな相関関係が認められた。 3.粘液型MHF肺転移腫瘍の制癌剤に対する感受性について(1)方法:粘液型腫瘍より細胞浮遊液を作製し、1x【10^5】cell/mlをラットの尾静脈から投与した後1週間後に1と同じ制癌剤を投与した。1週間後動物を屠殺して肺結節を数え、抑制率を求めて制癌剤に隊する感受性を評価した。(2)結果:CPM投与群においてのみ有意の効果が認められ、1で得られた皮下腫瘍の感受性とは異なる結果が示された。 4.高肺転移系モデルの作製(1)方法:MFHの粘液型腫瘍から作製した細胞浮遊液をラットの静脈内に注入して肺転移を形成させた。つぎにこの動物の肺から腫瘍を摘出して同様の操作によって別のラットの静脈内に投与した。この操作を10代まで繰り返した。(2)結果:8代以降肺結節数は著明に増加した。
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