研究概要 |
61年度ではHypoxia(5%O_2, 10%O_2)の条件作成に窒素を使用したが, 62年度では笑気によるHypoxia(6%O_2)の条件下にラットを暴露し, その後に再酸素供給を行って, 脳in vivoでの活性酸素発生をH_2O_2発生を指標として, 61年度と同様の方法で検討した. その結果, 1.ラットを笑気(N_2O)によるHypoxia(6%O_2)に15分間暴露した後の全摘出脳でのH_2O_2発生は, 対照群(Hypoxia負荷のない空気吸入群)と有意差はない. 又61年度に行った窒素(N_2)によるHypoxia(5%O_2, 10%O_2)暴露群との間にも有意差がなかった. 2.N_2O Hypoxia暴露後に, Hyperoxia(1ATAO_2, 3ATAO_2)により再酸素供給を行った後では, いずれのHyperoxia群でも対照群(N_2O Hypoxia負荷のない空気吸入群)に比較して, ラット脳in vivoでのH_2O_2発生は有意に増加した. しかし各Hyperoxiaの酸素分圧間には有意差はなかった. 又61年度に行ったN_2 Hypoxia群と比較すると, Hypoxia負荷後の再酸素供給によるH_2O_2発生は, Hyperoxiaの酸素分圧による有意差がなくなるのは同様であるが, H_2O_2発生は N_2O Hypoxia負荷後の方が有意に増加した. 以上よりHypoxia自体ではH_2O_2発生を指標とした活性酸素発生(O^-_2, H_2O_2, OH・の発生)はラット脳in vivoで生理的代謝過程と有意差がないと考えられる. しかしHypoxia負荷後のHyperoxiaに対してはHypoxia負荷のない場合と反応が異なり, 酸素分圧に比例した活性酸素発生増加がなくなると共に, N_2 Hypoxia負荷後とN_2O Hypoxia負荷後でも異なった反応を示すと考えられた.
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