研究概要 |
排尿時、尿流動態の変化によって尿道に生ずる音を音響学的に記録する。その波形分析より下部尿路の病態を把握し、診断、治療への手がかりとなるべく検討を行った。 1)排尿時、尿道に発生する音の波形分析第1型より第4型にまで分類した。第1型はダイヤモンド型、第2型は乱れ型、第3型は第1型+第2型の合成型、第4型はほぼ平担で、音が録画出来ないものである。 2)正常人、前立腺肥大症、前立腺癌症例の波形分析正常人は大部分が第4型に属す。前立腺肥大症はほぼ32〜36%第1〜3型に分布する。前立腺癌は大部分が2型で、次いで第1型、第3型の順であった。 3)ウロダイナミックス上の諸因子との関連前立腺肥大症では第1型と第3型との間に排尿時間の違いが認められた(40.4±8.2,30.8±6.7秒)。手術前後の関連をみると第4型への移行が著しかった。前立腺癌でも同様の傾向が認められたが、前立腺肥大症ほどではなかった。 4)以上をまとめると以下のようになるa)尿道音図を撮影する方式を考案した。b)その波形は第1,2,3,4型の4つに分類出来た。c)尿道音図撮影法は下部尿路閉塞性疾患(前立腺肥大症、前立腺癌など)の病態検索に極めて有効な方法である。d)新しいウロダイナミックスの一分野と考える。
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