1.ヌードマウス可移植腫瘍6株を用いて腎被膜下移植法(SRC法)における宿主反応と腫瘍径の問題について検討した。 (1).移殖片の面積に対する宿主反応の占める面積は4日目で10-60%6日目で90%以上であった。6日目のの組織像には腫瘍組織を認めなかった。(2).サイクロフォスファマイドの技子により、4日目の宿主反応を10%以下に押さえることができた。(3).移植片の腫瘍径を経時的にみると、6日目の移植片は移植時に比べて20〜30%増加し、免疫抑制剤処置群との差が認められなかった。しかし、8日目になると免疫抑制剤処理群の増加傾向が有意に認められた。以上の結果、マウスのSRC法をヒトに応用するには、コントロールの取り扱いや効果の判定時期、方法等に検討すべき問題が残されている。 2.ヒト尿路変性腫瘍を対象にSRC法による制癌剤感受性試験を行なった。(1).移植後4日目の組織学的検査で22例中20例に移植片の生着をみた。(2).移植に失敗した2例には腫瘍組織がほとんどなく、確実に移植できた腫瘍片の生着率は20例中20例(100%)であった。(3).移植後4日目に組織学的判定法により制癌剤の感受性試験を行った。その結果、腎癌12例中1例、膀胱癌4例中1例、睾丸腫瘍3例中1例に有効と認められる所見を得た。 以上の結果、マウスの腎被膜下移植法は従来のヌードマウス皮下移植法に比べていくつかの利点を有しているが、感受性試験の時期や判定法について解決すべき問題点が残されている。
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