研究課題/領域番号 |
60570782
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小柳 孝司 九大, 医学部, 講師 (30136452)
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研究分担者 |
原 賢治 九州大学, 医学部, 助手 (30150444)
下川 浩 九州大学, 医学部, 助手 (30128037)
中野 仁雄 九州大学, 医学部, 教授 (40038766)
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キーワード | 胎児心拍数 / 自律神経系 / 生体制御 / 数理モデル / 因子分析法 / 自己相関計装備胎児心拍数計 / ヒト胎児 / 機能分化・成熟 |
研究概要 |
目的: 初年度の研究成果を基礎に、今年度は標記の課題に沿うべく、胎児心拍数制御系の胎令に伴なう成熟過程について検討を加えた。 方法、成績ならびに考察: 胎児の瞬時心拍数並びは数列であるとのわれわれの数理モデルを用い、初年度と同様に行と列に心拍数絶対値と隣接する2つの心拍数の差分値を有するMatrixを設け、対象から得られた頻度を対応する要素にもつように配慮して、原データ・セットとした。次いで、このMatrixを因子分折法によって解析した。その結果、初年度で報告したように、妊娠37週から41週に至る胎児心拍数群では、その一拍毎の制御に"加速"、"減速"および"ゆらぎ"を意味する相互独立の機構が存在することが分っている。これに比し、妊娠18-24週および妊娠28-32週の2群を設けた解析の結果から、心拍数の変化量の分布は妊娠週数が若くなるにつれ、段々と単調になり、ことに妊娠18-24週の群においては、変化量の零を中心とした単峰性分布であることが判明した。このような傾向は別途に求めた因子分析法による因子負荷行列においても明らかで、妊娠週数が少なくなるにつれて、"ゆらぎ"の心拍数の全変動に占める割合が大きくなることからも支持される。このことは心拍数変動の、とりわけ交感・副交感神経系を含めた制御機構の成熟過程と解され、これらの成績を基に、最終年度は、胎児発育遅延症における心拍数制御系の病的逸脱について検討をすすめてゆく予定である。なお、そのための具体的な展開としては、心拍数のみではなく、パルスドプラ法による中枢神経系の血流再分機構との関連についても考察してみたい。
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