研究分担者 |
吉田 耕治 産業医科大学, 医学部, 講師 (20108765)
松岡 幸一郎 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (40136552)
宇津宮 隆史 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (00112350)
是永 迪夫 九州大学, 生体防御医学研究所, 講師 (00038522)
KORENAGA Michio Assistant Professor Institute of Bioregulation
YOSHIDA Kohji Assistant Professor, University of Occupational and Environmental Health, School
UTSUNOMIYA Takafumi Assitant, Medical Institute of Bioregulation
|
研究概要 |
昭和60年度は、福岡医学雑誌に英文で発表した「ヒト卵の体外受精,基礎実験とマウス胚の対照培養」という論文に展開した実験と、先天性障害であるXY gonadal dysgenesisの症例報告及び、新しい子宮内膜症治療薬R2323の性腺細胞・子宮内膜細胞に及ぼす影響を検討した。最初の論文ではヒトの卵を患者の同意のもとに体外受精実験を行い、殆んどの卵が2細胞にまでは分裂するのを確認した。しかしながら、精液は細菌で汚染されていることが多く10例中2例に感染が起こった。また、10例中4例は分裂しなかったりしたが、これ等は詳しい分析をすれば、polyspermyや何等かのdegenerationが卵に起こった可能性があろう。XY gonadal dysgenesisは別名Swyer症候群と呼ばれるものであり染色体分析を行わないと見逃す可能性もあるので染色体分析の重要性について述べた。また最後のR2323についてはin vitroで性腺細胞、子宮内膜細胞に対する影響を検討したが内膜細胞に対して弱い分泌期様変化を起こし、また、内膜症に使用中に妊娠した場合の先天障害発生についても言及している。 昭和61年度はddyマウスを用いて受精卵・2細胞胚の胞胚化・孵化に及ぼすプロラクチンの影響を検討した。これは、体外受精・胚移植の際に腹腔鏡を行うに当って全身麻酔をかけるがその時に必ず一過性の高プロラクチン血症が起こることがわかっているのでこの影響を検討してみたものである。その結果in vivoの受精卵では統計学的に有意にプロラクチンはマウス胚成熟を抑制した。この研究成果は61年度の2つの研究論文となっており、in vitroでプロラクチンの影響と思われるfragmentation,triploidy,sister chromatid exchangeなどの変性を来たしている受精卵があったために、胞胚化率、孵化率が低下したものと思われた。またmaitotoxinの豚卵巣黄体細胞よりのプロゲステロンやリラキシン産性刺激についても報告した。
|