研究課題
近年、ヒトおよび他の哺乳動物の超早期妊娠診断法として、Early Pregnancy Factor(EPF)が脚光を浴びつつある。われわれは、すでにヒト体外受精卵(前核期〜2分割〜4分割卵)の培養上清中にEPF活性の存在することを確認している。さらに、EPF活性の測定は臨床的に、不妊症患者における受精障害と着床障害の鑑別および体外受精、胚移植後の胚の予後推定に有用であることを報告してきた。EPFの臨床応用をさらに進めるためには、EPFの抽出・精製が不可欠であり、妊婦尿から採取したcrude hCGよりクロマトグラフィー法によりEPFの抽出・精製およびモノクローナル抗体の作製を行ない、以下の知見を得た。1.Crude hCGをゲル濾過カラム(Sephadex G75 Superfine)にかけて、EPF活性分画が20Kdおよび40Kdにあり、これがhCG活性分画に重複することを確認した。2.上期EPF活性分画をDEAEセルロースカラム(DE-52)を用いて、NaClgradient(0〜1.0M)をかけて分析すると、第2分画にEPF活性を認め、EIA法によるhCG活性分画とは分離していることを確認した。3.上期EPF活性分画をFast Protein Liquid Chromatography(FPLC)を用いて分析した。陰イオン交換(MonoQ)、陽イオン交換(MonoS)では複数のEPF活性を示すピークが得られた。クロマトフォーカシングを用いて等電点を測定するとEPF活性が検出されたのはPI5.5〜6.5の3ピークであり、EPF活性最強分画の等電点は6.5であった。
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