研究課題/領域番号 |
60570813
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
酒井 俊一 香川医大, 医学部, 教授 (90162263)
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研究分担者 |
坂田 義治 香川医科大学, 医学部, 助手 (70178557)
北奥 繁夫 香川医科大学, 医学部附属病院, 助手 (10186231)
宮口 衛 香川医科大学, 医学部, 助手 (70166130)
伊東 眞人 香川医科大学, 医学部附属病院, 講師 (50159919)
久保 武 香川医科大学, 医学部, 助教授 (30107031)
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キーワード | 上顎癌 / 鼻副鼻腔悪性腫瘍 / 遠隔成積 / 放射線治療後遺症 / 上顎全摘出術々後変形 |
研究概要 |
昭和32年から昭和55年までに、私たちが治療を行った鼻副鼻腔悪性腫瘍の症例1102例のうち、長期に生存しえた患者の生活状況を外来診察ならびにアンケートにより調査研究した。調査は治療開始後5〜9年観察群、10〜19年観察群、20年以上観察群に分け、それぞれ87例、149例、22例がその対象症例となった。 そのうち10年以上生存者として後二者の合計171例について集計すると、次のような結果が得られた。一般状態(パーフォーマンス・ステータス)は無症状38.0%、軽度症状40.9%、起居可能15.8%、半日就床3.5%、終日就床1.8%であった。仕事は発症前と同じ56.1%、軽作業8.2%、老令のため転職22.2%、病気のため転職13.5%であった。患側眼の視力は良効2.3%、減退10.5%、失明63.7%、眼球癆7.6%、治療のため眼摘15.8%であった。健側眼の視力は良効63.2%、減退33.9%、失明2.9%であった。上顎全摘出術による顔面変形は手術を行わず53.8%、全摘出33.2%であった。拡大全摘出12.9%であった。開口障害は軽度21.1%、高度11.1%、唾液分泌障害15.8%、食事摂取障害1.2%、聴力障害24.0%頭痛19.3%などであった。 以上のように10年以上観察による生活実態態はなお厳しく、放射線障害によると思われる患者脳卒中による死亡者も多いことが、それを裏付けている。社会複帰を阻むものは明らかに放射線白内障であり、患者眼は必発、健側眼においても視力良効なものは65.8%に止まった。上顎癌の治療方針は近年改善され、20年前に治療されたものに比較すると放射線後遺症も少くなり、上顎全摘出術を行わずに長期生存しているものが増え、私たちの最近の治療成果が示されたものと考えている。
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